平井義久ガバナーアドレス
今日は昼過ぎから会長幹事懇談会、そしてクラブ協議会を勤めさせていただきました。皆さん大変ご熱心で、私もいい勉強をさせていただきました。素晴らしいクラブ、という実感です。また本日はこの機会に2名、お聞きしますと今年になってから合計7名の増強ということで、これまた素晴らしい実績です。増強につきましても今後ますます頑張っていただきたいと思います。
私は今年2月、アメリカ・サンディエゴでの国際協議会において、ガバナーになるための教育を受けてきました。参加したガバナーエレクトは本年度530名です。これまでは529名でしたが、1名多い理由は、ロシアに1地区誕生したからです、これからは全世界で530地区になります。
ボイドRI会長は「ロータリーは、地球村のリーダーです。一人ひとりが地区や地域で寛容と思いやりとそして誠実さを持ってリーダーとしての役割を実践し、ロータリーの道を率先して下さい
。」とスピーチされました。さらに、「クラブや地域社会で行われてきた従来のやり方をただ惰性として繰り返すことなく、現状維持に甘んじることなく、誰かが問題を解決してくれるだろうという責任逃れをすることなく、自ら先陣を切るのがロータリアンたる私たちである
。」とおっしゃいました。よりよい未来を築く英知と信念を持っているのは私たちであります。そして率先しようと立ち上がるのも私たちであります。一つ一つの善行を重ねながら着実に世界を変えてまいりました私たちロータリアンを勇気付ける力強いスピーチでした。ボイドRI会長は、「ぜひみなさんが手本となってロータリーの道を率先していただきたい
。」と力説されました。
「ロータリアンが世界を変える力を持っている。」というボイドRI会長の信念を実行いたしますためにも、私は2650地区のテーマとして『「絆
」―奉仕の感動を分かちあおう』を提唱いたしました。私たちの地域の方々との絆、家族やロータリアン同士の絆を深めて共同して奉仕を行っていかなければなりません。強い絆を元に行われます奉仕は感動を伴い、奉仕の輪が広がって明るい未来を築いていくことにもつながります。私たちロータリアンはその先頭に立って率先しなければなりません。
本年度提起されましたRI会長の強調事項は次の4つです。
1.識字率の向上
2.水保全
3.保健、飢餓追放
4.ロータリー家族
この4つに加え、永遠の命題であります会員増強と退会防止の重要性を提示されました。
1.識字率の向上
文字は人類がつくりあげたコミュニケーションの優れた手段です。ですから、まず読む能力がなければ人が生きてゆく上で社会生活を満足に営むことができません。人間は言葉を学び、言葉で考え、言葉で表現します。そのはじめが文字の習得であり、教育の基本です。発展途上国では貧困と識字率は密接な関係
にあり、非識字が生活の糧を得るための大きな障害となっています。貧困の根底には識字率と教育の問題があります。また、人と人が十分にコミュニケーションがとれないことによる喧嘩や犯罪も発生します。すなわち意志疎通の問題です。いくつかのいたましい事件や事故は言葉の壁から起こっています。日本で生活されている外国人の言葉の問題もそうです。中国残留孤児の帰国後の問題もあります。意外と私達の身近にある課題として、青少年育成をも含めて取り組んでまいりたいと思います。
2.水保全
水保全は深刻な問題です。世界の人口が65億人を突破し、2013年には70億、半世紀後には90億に届くと米商務省推計で発表されました。
人類は既に世界に蓄えられている真水の半分以上を費やしており、2025年には4分の3を使い切ってしまうと考えられているそうです。想像以上に人口の増加がスピードアップしていますから、真水の危機も加速することが考え
られます。水資源は自然からの借り物であり、有効に使われなくてはなりません。
水の管理は食糧の生産にも大きな影響を及ぼしています。汚染された水に悩める国や地域、毎日の水運びのために学校に行く時間がない子供たち。日本でもいつの頃からか水道の蛇口から直接、水を飲む習慣がなくなりました。ガソリンと同じように飲料水にお金を払って生活しています。次の世代にきれいな水や環境を手渡すためにも、私達が手にする1杯の水から、水資源の問題と真摯に向き合わねばならないと思います。
3.保健、飢餓追放
先に述べました水の問題とも密接な関連があります。きれいな水や適切な衛生施設さえあれば多くの保健上の改善が可能です。飢餓は世界中が抱える大きな問題です。毎年1100万人の子供が死亡している現実があります。そのほとんどが発展途上国の子供達、70%は予防可能な病気による死、しかも栄養失調と水感染の疾病が極めて多いのです。食糧なくして健康はありませんし、健康なくして夢も希望も存在しません。ポリオ撲滅への支援、恵まれない人々のための医療の提供
、飢餓にあえぐ人々への自助自立の支援、さらに福祉の向上も計っていかなければなりません。
奉仕の継続は大きな力になります。ロータリー財団へ寄付することを通じての基金のプールは私達にとっての重要なプロジェクトです。
4.ロータリー家族
多くの人々が時間に追われる生活を送っている今日、共働きの家族も当たり前となっています。多くのロータリアンは仕事と家庭の両立に奮闘しています。それだけに家族を巻き込んだロータリー活動が強く望まれます。ロータリー家族とは、私達ロータリアンと心を同じくして、活動していただける仲間をいいます。すなわちローターアクト、インターアクトもそうです。奉仕活動は草の根運動です。家族との絆、地域との絆、各NPOとの絆、様々な人々に私達の考えをご理解いただき、共に手をとり活動をしてゆくこと。これは私達ロータリークラブの未来を考えるうえでも大切なことです。
<会員増強>
会員増強は我々の究極の課題です。先に述べました強調事項を推進していくためにも、会員の増強は不可欠です。ロータリー活動はステータスでもあります。誇りをもって奉仕に夢を描き、効果的なクラブづくりをすすめていただきたいと考えます。クラブリーダーシッププランを通じて充実したクラブを築いてこそ、退会防止につながります。
クラブのリーダーシップが活力と積極性と意欲に満ちたものであると退会率が低くなってきます。そして、健全なクラブ運営ができることが実証されています。ボイドRI会長は、1クラブ1人の会員の純増を目標と定められました。ぜひともそれ以上の増強を、奈良大宮ロータリークラブには期待しておりますし、もうすでに私はこうして今日もお2人
をお迎えされたことを目の前で見せていただきました。すでに7名の増強を達成されたとのことで、本当に素晴らしいクラブです。どうか今後も素晴らしい会員をお迎えいただくよう特にお願いを申し上げます。
今、説明の中でCLP、クラブリーダーシッププランについて申しましたが、当地区でも本年度導入のCLPプランについて若干のお話をさせていただきたいと思います。
CLPは効果的なクラブ管理のシステムです。クラブのレベルでロータリーの充実を図ることを目的としています。どのような規模のクラブ、大きなクラブでも小さなクラブでも素晴らしい奉仕活動が展開できることが実証されており、たとえば10名のクラブでも奉仕活動が立派に行えるという運営が考慮されています。組織が変わるということは、何かと抵抗と軋轢を生みますが、ロータリーは時代に即応しながら今日まで発展してきました。同じ方法で、同じシステムで、同じ組織で何十年も同じことをやっていると衰退します。クラブ奉仕、職業奉仕、社会奉仕、国際奉仕はロータリー活動の根幹です。この原点を忘れずに、クラブの会員や他の団体の皆さんが共同で参加できる奉仕プロジェクトを企画していただき、四大奉仕の実践を一緒にやることにより、可能な活動が生まれ、また継続性も生まれてくると思います。四大奉仕をベースに、CLPを取り入れていただき、ロータリーの綱領を追求して効果的なクラブを創造していただきたいと思います。
そのためには、
1. 会員基盤を維持し拡大していく
2. 成果のある奉仕プロジェクトを実施する
3. ロータリー財団、米山奨学会を支援する
4. 指導者を育成する
5. クラブ運営を簡素化し、奉仕と親睦に集中させる
これが効果的なクラブの創造です。変革し、成長するロータリーにふさわしい行動を起こしていただきたいと思います。地区の委員長とも十分にコミュニケーションをとり、四大奉仕を元にCLPを導入していただき、効果的なクラブ
つくりをお願い申し上げたいと思います。
ロータリー財団について若干お話申し上げます。この写真をご覧になって皆さんは何をお感じになりますでしょうか。この子供はポリオで体が衰弱し、歩くことすら出来ません。通常の生活が出来ない飢餓状態です。後ろのハゲタカは、恐らくこの子が息絶えるのを待っているのではないでしょうか。このような写真をあえてみなさんにお見せしましたが、私たちの日本は豊かでポリオもなく、子供たちは幸せな毎日を送っています。しかし日本から遠く離れたところで悲惨な実態が起きています。これらの子供たちを救うためにも今、私たち2650地区のロータリアンが出来ることは何でしょうか。こんなにも遠いところまで、私たちはなかなか出かけて行っては奉仕をすることは出来ません。しかしながら、みなさんがこのように集まる機会に、それぞれのポケットマネーからワンコインを奉仕いただく、財団のプログラムを利用し、ロータリー財団へのワンコインをご支援いただくことは可能です。皆さんのポケットマネー、ワンコインがぜひとも必要です。このような悲惨な実態をなくすためには、ロータリー財団のプログラムに関心を持っていただき、ロータリー財団への財政支援をいただくことが大切であると私は思います。
ロータリー財団は地域、全国、国際レベルの人道的、教育的、文化交流プログラムを通じ、ロータリーの綱領とロータリーの使命を遂行し、世界平和を達成しようとする活動を支援しております。今までは国際活動が主でしたが、地域や全国レベルの活動にも財政支援が加わってまいりました。奉仕活動と資金の調達は車の両輪です。そして人類も一つです。世界中の貧困や飢餓が減少して世界が平和にならない限り私たちに真の平和は訪れません。ロータリー財団が地域や国際社会の奉仕を強化するためにも資金面の充実が重要です。RIは毎年、「あなたも100ドルを
」と呼びかけていますが、当2650地区ではここ数年間150ドルを目標としてまいりました。奈良大宮クラブには非常に多くの寄付をいただき、本当に感謝をいたしております。どうか本年度も同様にご協力をいただきますように節にお願い申し上げます。
また米山奨学会では日本のロータリアンの寄付を財源として日本で学ぶ外国人留学生の奨学金を支給いたしております。米山奨学金では年間で17億円を使い、約1000名の学生を支援しておりますが、なかなか厳しい状態です。毎年一人24000円、月2000円の割合でお願い出来ればという目標を掲げております。米山奨学金につきましても、ぜひとも奈良大宮クラブのご指導またご支援をたまわりますようにお願い申し上げます。
このように寄付をし、知恵を絞り、汗を流してプログラムを実行いたしましても、なかなか一般の市民に活動内容が伝え切れていないのが現状ではないでしょうか。ロータリーはお金持ちの会合、趣味で奉仕をやっているぐらいの認識しかされていないのが現実です。私たちの活動の実際を地域の人々にもっと知ってもらう努力をしなければならないと私は強く思っております。私たちのボランティアのプロジェクトは多くの参加者の力を借りてこそ成功に導くことができます。また新たなプロジェクトが生まれ、新たな人が育っていく
ことを望んでいます。それだけに多くの方々に、ロータリーの活動をもっと知っていただく必要があるのではないでしょうか。
全員参加は公共イメージを上げる最良の手段であります。広報はもちろん、地区といたしましても頑張ってまいりますが、クラブにおかれましてもぜひともマスコミを巻き込んだ奉仕プログラムを、市民もロータリアンもそしてNPOも青少年も参加できるプログラムを作っていただきたいと思います。共に働くことにより成功の感動を共に味わい、ロータリーが理解されていくならば、マスコミで報道される機会も多くなってくるのではないかと思います。まず身近な家族からそして地域の人々へとロータリーの活動の輪を広げていただき、深めていくという公共的イメージの推進を行い、ロータリアン一人ひとりが広報マンとなっていただきたいと思います。
特に私は、新世代の若者に奉仕の心を芽吹かせたいと願っています。実体験の教育、生きた教育の重要性を感じております。青少年が賛同してくれることによって、未来のロータリアンの芽を育てる意味合いもございます。冒頭に申し上げましたように、RI会長のテーマは「LEAD
THE
WAY―率先しよう」です。このテーマをもとに、まず私たちロータリアン同士が絆を強くし、家族友人地域身近な人たちとの絆を深めてこそ効果的なクラブ運営が出来ると私は確信しております。この思いから私は地区のテーマを『「絆
」―奉仕の感動を分かちあおう』とさせていただきました。ロータリー活動の歴史の中でも絆の大切さを記されております。創始者ポールハリスの伝記の中で、「ポールハリスが求めたものは寛容で親睦と友情の精神にあふれた一業一人の相互扶助で結ばれた人間の絆であった
。」と記載されております。RI元会長のチャールズ・ケラー氏も「奉仕の理想は人々をつなぐ心の絆です。奉仕とは人々の役に立つことであります。違った言葉を話し、異なった食事をし、着る服が違い、宗教も違う人々を結び付けるには強力な絆が必要です。ロータリーではその絆が超我の奉仕という理想です
。」とおっしゃっておられます。今日のように個人個人の都合や利益が最優先します風潮の中では、なかなか絆は生まれてきません。青少年の度を越えた非行や殺人、暴行、そしてマネーゲームなど絆が忘れられたが故のいたましい、嘆かわしいニュースが後を絶ちません。今の日本の世相に危機感を持っているのは私だけでしょうか。こんな時代だからこそ絆の大切さを認識しなければならないと思います。お互いの信頼がなければ宗教、学校、地域社会、そして国家さえもうまく機能することは出来ません。一つの信頼が絆となり、そこに人と人をしっかり結び付けてくれる強いつながりが生まれてくるはずです。星の数ほど人はいても絆で結ばれる人はほんの一握りに過ぎません。地球という一つの星の上でめぐり合い、ふれあい、そして心が通い合うことは人生の中でも大きな喜びであるはずです。家族の絆、友人、地域社会の人々の絆、さらに世界の人々との絆を深め、2650地区では絆の精神を大切に共に力を合わせ共に理想的な奉仕の実現を目指したいと願っております。
強い絆の下に行われます奉仕は感動をともない、そして奉仕の輪が広がり、明るい未来を築くことが出来ます。実に1世紀前に地域を代表するもの同志が力を合わせてよりよき地域づくりを目指しました精神は、素晴らしいものがございました。1業1人の相互扶助で結ばれた絆を今一度見直していただき、心に刻み、家族の絆、NPO、各団体、さらに青少年や子供たちを含めての絆を築くことを目指して、一つのテーマに挑戦できる機会をぜひとも作っていただきたいと思います。プロジェクトを共にやり遂げることにより
、そこには深い感動が生まれます。その感動を分かち合い、さらに深い絆が生まれます。ぜひとも感動が得られるような奉仕活動を皆さん方が率先、実行いただきますようにお願い申し上げたいと思います。
さて昨今は国家の品格、地域、地方の品格という言葉をよく耳にいたします。ロータリーは100年の歴史を築いてまいりました素晴らしい団体であり、大きな誇りでもあります。これは私たちロータリアンの品格のなせる業ではないでしょうか。ロータリーの品格あってこそ、新会員や新しい仲間を増やすことが出来るのです。今日皆さんお手元に地区大会のチラシをご用意しました。来年3月31日、4月1日に地区大会を開催いたしますが、そのときにはベストセラーとなった「国家の品格
」の著者、藤原正彦氏にお話をいただきます。私たちはこのお話を聞きながらロータリーの品格、さらにロータリアンの品格もさることながら、地域、自分たちの企業の品格をもう一度考えることが出来ればと思っています。どうか地区大会へは全員参加でお越しいただくことをお待ちしています。みなさんの大会です。会員の大会でございます。義理で行くのではなく、心を一つにして全員参加でお越しいただくように出席委員長さんに頑張っていただくようにお願いを申し上げます。藤原さんからは素晴らしいお話がお聞き出来ると思います。
会長を筆頭に、奈良大宮ロータリークラブは素晴らしい優秀クラブです。これは私が今日一番に感じたことでした。私のクラブも同じような歴史、人数も同じような規模でございます。一緒になってこれからも頑張っていければと思っています。
今後も素晴らしい会員さんをお迎えいただき、素晴らしい奉仕活動を展開していただき、地域の皆さんにロータリーとはいいなと言っていただけるような活動を期待申し上げ、アドレスといたします。
今日はありがとうございました。 |